モダンドレッジ構築論(サイド編)
2016年12月12日 Magic: The Gathering
前回はメイン構築の考え方を書いたので、今回はサイドボード選定と各種アーキタイプに対してのプランニング。
まず今回のモダン神にあたって、MTG top8の使用率および相性を鑑みて仮想敵を15アーキタイプほど想定した。
アグロ:ドレッジ、感染、親和、バーン、SCZ、Suicide Bloo
ミッドレンジ:ジャンク、ジャンド、バントエルドラージ、デスタク、CoCo系
コンボ:ヴァラクート、トロン、むかつき
コントロール:ランタン(青系はどう転んでも有利なため考慮しない)
分類は厳密ではないが、基本的にアグロに対してはダイスゲー、ミッドレンジは有利、コンボ相手は不利という認識である。ミッドレンジに対しての墓地対策対策は4枚以上積んでいるため、その他のスロットはアグロとコンボ対策を中心に埋めた。
サイドチェンジの基本プランであるが、ドレッジはタップアウトビートダウンであり、マナを使いきらないことに意味は無いことが多いので、サイドインは同役割・同マナ域のカードと交換することとなる。ただし、墓地対策対策である自然の要求、衰微、思考囲いはメインボードと役割が異なるため、デッキを薄めることにはなるがゲームプランを考えつつ抜くカードを決める。
《ボジューカの沼》:対ドレッジ用、アブザン相手にも1枚差す
《思考囲い》:対コンボ用。RIPのみに墓地対策を頼る相手にもサイドイン
《稲妻の斧》:アグロ系の早いクリーチャーデッキとBG系に
《自然の要求》:2ゲーム目に困ったらとりあえず入れる。ディッチャ界のエース
《集団的蛮行》:アグロ系にとにかく強い。コンボ相手に追加のハンデスにもなる
《古えの遺恨》:親和、感染、ランタン、トロン相手に
《突然の衰微》:追加の墓地対策対策。生物も除去できて丸い
《骨までの齧りつき》:バーン、Zooなどに。相性は悪くなく、蛮行もあるため1枚で十分
《復讐に燃えたファラオ》:オールイン系に強い。感染相手だと遅すぎる場合も
モダン神優勝者は自然の要求を4枚とっていたが、衰微と囲いを追加でとっているため、3枚で十分と判断。特にRIPに関しては出されるだけで1T以上遅れさせられるので、デスタクや緑白トロン相手に後手1Tに打てる思考囲いを1枚採用。趣味でカラスの罪とも迷ったのだが、囲いを打ちたいトロン・ヴァラクート・むかつきはピンポイントでカードを抜く必要がある相手であるため不採用。
集団的蛮行に関しては、既存のリストは2枚までの採用が多かったが、メインボードを落としやすい感染やバーンに対する相性をサイドから劇的に改善できるため3枚目を採用。また、後手2Tに安堵の再会をぶっぱし辛い神々の憤怒を入れてくるデッキに対して蛮行は強い動きになる。最近のドレッジ対策は、置物から外科的摘出や貪欲な罠などインスタントに移行している傾向があるため、特に感染やSuicide Blooに対しては強力なアドバンテージを取れる可能性がある。
改善点を挙げるとするならば、稲妻の斧の使い方かと思う。新生子と交換されることが多いが、先手ではあまり強い動きをしてくれないため、序盤の動きを意識して先手後手でサイドボードプランを変更していく必要がある。
以下、各種アーキタイプへの戦い方と注意するカード。
サイドボードプランは画像でまとめておく。
《ドレッジ》:虚空の力線
ボジューカが見えるまでドレッジしてロームで拾う。ダメージレースで先行しているなら、燃焼で相手のナルコメーバをさばいてビートダウンするプランも取れる。力線が見えなかったらボジューカとダクムーアの交換のみでトップスピートを追求していく。
《感染》:墓掘りの檻、貪欲な罠
除去を増やして、ナルコメーバとインプをブロッカーとして立たせてロングゲームに持ち込む。ディスカードスペルを増やすので、その分新生子と安堵の再会を減らす。
《ヴァラクート》:神々の憤怒
憤怒のケアとスピード勝負の天秤。ハンデスで相手をスローダウンできるとゲームプランも立てやすい。安堵の再会のリスクが大きいため、後手の時は減らす。
《カンパニー系》:軟泥、アナフェンザ
生物除去は多いため、基本は有利に立ち回れる。相手の生物を3T以降越えられない恐血鬼を減らす。スローゲームになれば墓トロールがビートできるようになる。
《ランタン》:墓掘りの檻、罠の橋、外科的摘出
あまり対戦経験はないが、メインはスピード勝負、サイド後は檻か橋を割れるハンドをキープしたい。クロックを早めに盤面に出して最後は燃焼で焼き切るイメージ。
《トロン》:大祖始の遺産、ウギン
赤緑の場合はトップスピード勝負。最速キルターンに貢献しない暗黒破と打ちどころがない燃焼を1枚減らし、必要最低限の妨害を入れる。緑白の場合はRIPがあるため、自然の要求を足したい。その場合は、新生子を減らすか。
《親和》:墓掘りの檻
感染と同じで除去を増やし、コントロール気味に立ち回っていく。荒廃者が出ている時だけ燃焼の撃ち方が難しいが、サイド後は特に有利に立ち回れる。
《バーン》:RIP、大祖始の遺産
蛮行が強すぎるマッチアップ。新生子は相手のクリーチャーを止めつつ発掘をする役割があるので全部残す。齧りつきまで辿り着けば勝ち確。
《SCZ》:墓掘りの檻、貪欲な罠
コントロール気味に立ち回りつつも、ある程度速さが求められるマッチアップ。齧りつきも必要かと考えたが、死の影がでかすぎるため後ろ向きになりすぎず最低限だけサイドボードする。
《むかつき》:ファイレクシアの非生、暗黒
スピードが要求されるマッチアップ。クリーチャー+災いの悪魔を総動員してダメージレースを挑むが、暗黒には注意。また、白力線をサイドインしてくるパターンも多いため、集団的蛮行も最低限に留め、クロック形成の速度を落とさないようにする。
《バントエルドラージ》:墓掘りの檻、RIP
檻とRIPが合わせて4~5枚あるため、初手に置物を割れるスペルがあること推奨。先手ならRIPに間に合うことも多いためぶっぱハンドキープも可。
《デスタク》:RIP
墓地対策はRIPのみに頼っている場合が多いため、思考囲いをサイドイン。バイアルも割れるため、置物破壊がダブついても他で動けるハンドならばキープ推奨。
《呪禁オーラ》:RIP
基本はスピード勝負しつつ、宝冠やひるまぬ勇気などのライフゲイン系のエンチャントだけ割っていく。
《ジャンド》:黒力線、神々の憤怒、虚無の呪文爆弾、外科的摘出
相手の構成によって異なったサイドプランを取らなければいけないため、2ゲーム目の見極めが重要。逆に1ゲーム目は8割取れる。ボブや憤怒を見たら全力で蛮行をサイドインするが、基本は虚空の力線などの置物に対処するために自然の要求キープを推奨。
《ジャンク》:貪欲な罠、外科的摘出
ジャンドと異なり全体火力を持たないため、クリーチャーは自ターンで盤面に戻してよい。また、相手も墓地を使う都合上、墓地対策はこちらにのみ影響を及ぼすインスタントスペルを使うケースが多いため、集団的蛮行の重要度がジャンドに比べて増す。
《Suicide Bloo》:貪欲な罠、外科的摘出
キルターンが向こうのほうが1T速いため、こちらがコントロール気味に振る舞っていくことになる。相手の生物の素のタフネスは2のため、集団的蛮行によるリソース攻めが強い。
長々と書いたが、ドレッジのサイドボードは相手の墓地対策への適切な回答をインしていく作業であるため、通常のデッキにおけるサイドボーディングの手法とは全く異なる。メインボードに強くはあるが、2ゲーム目を無為に負け散らかさないためにも、各アーキタイプが用いてくる対策カードの引き出しを増やすことが何より重要となる。
今回の結果を受け、メイン・サイドともに若干の見直しが必要だと感じたが、ドレッジの地力の高さを実感することができた。GP静岡まではスタン中心でやっていくが、来年のGP神戸はさらにドレッジのポテンシャルを引き出せるような構築・プレイングをしていきたい。
まず今回のモダン神にあたって、MTG top8の使用率および相性を鑑みて仮想敵を15アーキタイプほど想定した。
アグロ:ドレッジ、感染、親和、バーン、SCZ、Suicide Bloo
ミッドレンジ:ジャンク、ジャンド、バントエルドラージ、デスタク、CoCo系
コンボ:ヴァラクート、トロン、むかつき
コントロール:ランタン(青系はどう転んでも有利なため考慮しない)
分類は厳密ではないが、基本的にアグロに対してはダイスゲー、ミッドレンジは有利、コンボ相手は不利という認識である。ミッドレンジに対しての墓地対策対策は4枚以上積んでいるため、その他のスロットはアグロとコンボ対策を中心に埋めた。
サイドチェンジの基本プランであるが、ドレッジはタップアウトビートダウンであり、マナを使いきらないことに意味は無いことが多いので、サイドインは同役割・同マナ域のカードと交換することとなる。ただし、墓地対策対策である自然の要求、衰微、思考囲いはメインボードと役割が異なるため、デッキを薄めることにはなるがゲームプランを考えつつ抜くカードを決める。
《ボジューカの沼》:対ドレッジ用、アブザン相手にも1枚差す
《思考囲い》:対コンボ用。RIPのみに墓地対策を頼る相手にもサイドイン
《稲妻の斧》:アグロ系の早いクリーチャーデッキとBG系に
《自然の要求》:2ゲーム目に困ったらとりあえず入れる。ディッチャ界のエース
《集団的蛮行》:アグロ系にとにかく強い。コンボ相手に追加のハンデスにもなる
《古えの遺恨》:親和、感染、ランタン、トロン相手に
《突然の衰微》:追加の墓地対策対策。生物も除去できて丸い
《骨までの齧りつき》:バーン、Zooなどに。相性は悪くなく、蛮行もあるため1枚で十分
《復讐に燃えたファラオ》:オールイン系に強い。感染相手だと遅すぎる場合も
モダン神優勝者は自然の要求を4枚とっていたが、衰微と囲いを追加でとっているため、3枚で十分と判断。特にRIPに関しては出されるだけで1T以上遅れさせられるので、デスタクや緑白トロン相手に後手1Tに打てる思考囲いを1枚採用。趣味でカラスの罪とも迷ったのだが、囲いを打ちたいトロン・ヴァラクート・むかつきはピンポイントでカードを抜く必要がある相手であるため不採用。
集団的蛮行に関しては、既存のリストは2枚までの採用が多かったが、メインボードを落としやすい感染やバーンに対する相性をサイドから劇的に改善できるため3枚目を採用。また、後手2Tに安堵の再会をぶっぱし辛い神々の憤怒を入れてくるデッキに対して蛮行は強い動きになる。最近のドレッジ対策は、置物から外科的摘出や貪欲な罠などインスタントに移行している傾向があるため、特に感染やSuicide Blooに対しては強力なアドバンテージを取れる可能性がある。
改善点を挙げるとするならば、稲妻の斧の使い方かと思う。新生子と交換されることが多いが、先手ではあまり強い動きをしてくれないため、序盤の動きを意識して先手後手でサイドボードプランを変更していく必要がある。
以下、各種アーキタイプへの戦い方と注意するカード。
サイドボードプランは画像でまとめておく。
《ドレッジ》:虚空の力線
ボジューカが見えるまでドレッジしてロームで拾う。ダメージレースで先行しているなら、燃焼で相手のナルコメーバをさばいてビートダウンするプランも取れる。力線が見えなかったらボジューカとダクムーアの交換のみでトップスピートを追求していく。
《感染》:墓掘りの檻、貪欲な罠
除去を増やして、ナルコメーバとインプをブロッカーとして立たせてロングゲームに持ち込む。ディスカードスペルを増やすので、その分新生子と安堵の再会を減らす。
《ヴァラクート》:神々の憤怒
憤怒のケアとスピード勝負の天秤。ハンデスで相手をスローダウンできるとゲームプランも立てやすい。安堵の再会のリスクが大きいため、後手の時は減らす。
《カンパニー系》:軟泥、アナフェンザ
生物除去は多いため、基本は有利に立ち回れる。相手の生物を3T以降越えられない恐血鬼を減らす。スローゲームになれば墓トロールがビートできるようになる。
《ランタン》:墓掘りの檻、罠の橋、外科的摘出
あまり対戦経験はないが、メインはスピード勝負、サイド後は檻か橋を割れるハンドをキープしたい。クロックを早めに盤面に出して最後は燃焼で焼き切るイメージ。
《トロン》:大祖始の遺産、ウギン
赤緑の場合はトップスピード勝負。最速キルターンに貢献しない暗黒破と打ちどころがない燃焼を1枚減らし、必要最低限の妨害を入れる。緑白の場合はRIPがあるため、自然の要求を足したい。その場合は、新生子を減らすか。
《親和》:墓掘りの檻
感染と同じで除去を増やし、コントロール気味に立ち回っていく。荒廃者が出ている時だけ燃焼の撃ち方が難しいが、サイド後は特に有利に立ち回れる。
《バーン》:RIP、大祖始の遺産
蛮行が強すぎるマッチアップ。新生子は相手のクリーチャーを止めつつ発掘をする役割があるので全部残す。齧りつきまで辿り着けば勝ち確。
《SCZ》:墓掘りの檻、貪欲な罠
コントロール気味に立ち回りつつも、ある程度速さが求められるマッチアップ。齧りつきも必要かと考えたが、死の影がでかすぎるため後ろ向きになりすぎず最低限だけサイドボードする。
《むかつき》:ファイレクシアの非生、暗黒
スピードが要求されるマッチアップ。クリーチャー+災いの悪魔を総動員してダメージレースを挑むが、暗黒には注意。また、白力線をサイドインしてくるパターンも多いため、集団的蛮行も最低限に留め、クロック形成の速度を落とさないようにする。
《バントエルドラージ》:墓掘りの檻、RIP
檻とRIPが合わせて4~5枚あるため、初手に置物を割れるスペルがあること推奨。先手ならRIPに間に合うことも多いためぶっぱハンドキープも可。
《デスタク》:RIP
墓地対策はRIPのみに頼っている場合が多いため、思考囲いをサイドイン。バイアルも割れるため、置物破壊がダブついても他で動けるハンドならばキープ推奨。
《呪禁オーラ》:RIP
基本はスピード勝負しつつ、宝冠やひるまぬ勇気などのライフゲイン系のエンチャントだけ割っていく。
《ジャンド》:黒力線、神々の憤怒、虚無の呪文爆弾、外科的摘出
相手の構成によって異なったサイドプランを取らなければいけないため、2ゲーム目の見極めが重要。逆に1ゲーム目は8割取れる。ボブや憤怒を見たら全力で蛮行をサイドインするが、基本は虚空の力線などの置物に対処するために自然の要求キープを推奨。
《ジャンク》:貪欲な罠、外科的摘出
ジャンドと異なり全体火力を持たないため、クリーチャーは自ターンで盤面に戻してよい。また、相手も墓地を使う都合上、墓地対策はこちらにのみ影響を及ぼすインスタントスペルを使うケースが多いため、集団的蛮行の重要度がジャンドに比べて増す。
《Suicide Bloo》:貪欲な罠、外科的摘出
キルターンが向こうのほうが1T速いため、こちらがコントロール気味に振る舞っていくことになる。相手の生物の素のタフネスは2のため、集団的蛮行によるリソース攻めが強い。
長々と書いたが、ドレッジのサイドボードは相手の墓地対策への適切な回答をインしていく作業であるため、通常のデッキにおけるサイドボーディングの手法とは全く異なる。メインボードに強くはあるが、2ゲーム目を無為に負け散らかさないためにも、各アーキタイプが用いてくる対策カードの引き出しを増やすことが何より重要となる。
今回の結果を受け、メイン・サイドともに若干の見直しが必要だと感じたが、ドレッジの地力の高さを実感することができた。GP静岡まではスタン中心でやっていくが、来年のGP神戸はさらにドレッジのポテンシャルを引き出せるような構築・プレイングをしていきたい。
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